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禅問答 - 書評 - 『本を読んだら、自分を読め』小飼弾

木曜日, 3月 07, 2013
「本について書いてある本」があるとつい読みたくなる。



しかし、小飼弾の新刊である本著は「本の本」としては少々難しかった。
本との向き合い方に関しては、ただ楽しく読めば良いと成毛眞の『面白い本』では言い切っているので分かりやすいが、この本の帯では、
年に5000冊を読破するDanが教える、20代の教養の身につけ方。
とあるので「本を読んで賢くなろう」という本なのかな?と予想しながら読み進めると簡単に裏切られる。
ただ読み終わった後に、「もっと本を読みたいな」という気にさせてくれる。


著者のブログ『404 Blog Not Found』にならい、Amazonに目次が記載されているので転載しておく。

■目次■
【CHAPTER1】…だから、僕は本で強くなれた
・自分を救うしくみはこうしてつくれ
・付き合う人を変えるように、読む本も変える
・僕の先生は、本で十分だった
・陽気な現実逃避のススメ
・ビジネス書ばかり読むのは寂しい
・SFの世界を丸かじり
・自分の世界を構築する力をつける
・百科事典は眺めているだけで役に立つ
・ヘタな読書術は持つな
・本を読めば、自分が読める
・きみは楽な状態に慣れてはいないか?
・しんどいどきに、本で救われるのか
・人生最大のトラブルをなぜ乗り切れたのか
★Danが目利きの書店員さんに聞いてみた
「人生をあと押ししてくれたこの一冊」1
【CHAPTER2】…本の読み方を変えれば、自分が変わる
・本を読む時間もないほど働いていないか
・労働と読書が僕の青春だ
・「ロールモデルは3年まで」の法則
・ベストセラーよりロングセラー
・本に実利を求めすぎるとかえって損をする
・本は前から順に読まなくていい
・安くて高い漫画
・うさんくさい本で批判を練習する
・奥深い難読本の世界
・地味なタイトルに名著が多い
・「本の面白さ」を見分ける方法
・「すごい人」の本はなぜ拍子抜けするのか
★Danが目利きの書店員さんに聞いてみた
「人生をあと押ししてくれたこの一冊」2
【CHAPTER3】…本屋を歩けば、見える世界が変わる
・20代こそ本にお金をつぎ込もう
・不安を本で埋めてはいけない
・本は常に手元に置くこと
・効果的な書店の歩き方
・いい書店は書店員次第
・本屋でできる、贅沢な休日の過ごし方
・アマゾンの評価を真に受けるな
・優秀な書店員は何が違うのか
・偏見を貯めよう
・何を買うかより、「何円分」買うか
・貯金する金があったら、本につぎ込もう
・本を読まずに、チャレンジなどできない
★Danが目利きの書店員さんに聞いてみた
「人生をあと押ししてくれたこの一冊」3
【CHAPTER4】…アウトプットすれな知恵はもっと身につく
・財産としての本
・本棚にどう並べるか
・自分から「こんな本を読んだ」と発信していく
・読んだ本は記録しよう
・読書感想文は100年早い
・読書ブログのはじめ方
・ウェブで発信するコツ
・人とつるんで読まなくていい
・あっという間に人気作家になれる方法
・誰かこの人たちの人生を書いてくれ!
・伝記こそ真の自己啓発本
・読めば読むほど楽しみは増幅する
★Danが目利きの書店員さんに聞いてみた
「人生をあと押ししてくれたこの一冊」4
【CHAPTER5】…本当の教養は人生を豊かにする
・リア充になりたかったら本を読め
・一般名詞ではなく、固有名詞で生きる
・みんなの評価はあてにならない
・読書で教養は身につくか
・社会人の暗記力は、ゼロ査定
・本当の教養とは何だろうか
・本にも載っていないデータを読み解く力を持つ
・空想力ほど、役に立つものはない
・Danが語る、電子書籍の未来
・本当に「若者はかわいそう」か?
・自分の中に教師の人格を持て
★Danが目利きの書店員さんに聞いてみた
「人生をあと押ししてくれたこの一冊」5

前半の著者の生い立ちに関しては、今まで読んだことのある本やブログの中でおおかたは知っているがここで紹介しておく。

小飼弾(Dan Kogai)...中学2年生の時から学校には登校しなくなって卒業する、15歳で大学検定に合格、日本では18歳になるまで取得出来ないので、家庭教師や土木の仕事をして、その後カリフォルニア大学バークレー校に進学するも、家が全焼して帰国、大学も辞めて行き着いた先はオンザエッジ(後のlivedoor)の最高技術責任者に就任。退社後は書評ブログで一躍アルファブロガーになりブログは月間100万PVを誇る。
ちなみに全焼した時に所有していた本は7000〜8000冊だそうだ。(まだ20歳前後で!)

そんな小飼弾の豆知識はさておき本著に書いてあることを要約してみる。

要約

本自体が自分を救うことは出来ないが、自分で自分を救う手助けをしてくれる。
本は自分のペースに合わせて読むことが出来る。それは凡人にこそ必要なことだ。
自分の枠を自分で決めないように本にはなるべく浮気をすること。
そして色んな種類の本を読んで想像力が豊かになれば、結果的に自分をコントロール(自分を救う)出来るようになる。
内容が覚えられない本はその本が悪いので気にしないこと。しかしクソ本でも得られるものがあるので他と違い本はお得である。
テレビは噛まないで良いミルクシェイク。本は多少なりとも噛まないと喉を通らない。
自分を読むとは自分を救うこと。本は海に浮いている丸太のようなもので掴むのはあくまで自分である。
自然淘汰の観点からみてもベストセラーよりもロングセラーを選んだ方が良い。初版が10年前なら迷わず「買い」だ。
本は批判しながら読むべし。そして批判するなら代替案も用意する。
哲学書は言葉遊びしてるだけに過ぎないものも多く時間をスってしまうことがある。
偉人の本が何故拍子抜けなのかは、その人の持つノウハウを言語化することが出来ていないから。凄い人程、自分のどこが優れているか分かっていないのかもしれない。
だから第三者が書いた伝記の方がオススメである。
本を読んで偏見を貯める。偏見は人生にとって有益。そして自分が偏見していることに気付くことが出来るようになることが重要。
自称実践派の人もいるが、実践した方が机上の空論よりも良いのは自転車の乗り方程度で、机上の空論をベースに実行して経験知を積むべきである。
本を読んで記憶するのはインデックスであり、ダウンロードではない。
ダウンロード(知識量)ではGoogleに勝てない。
読んだ本は記録して、知識は循環させないと詰まってしまい新しいことを受け入れる隙間が出来ないから、まずは事実のみを書く。
最初は難しい読書感想文ではなく備忘録や報告書程度で書いた方が良い。
読書について...物理的な豊かさは能力を節約するので若いうち程、量をこなすこと。
教養は自分で自分の畑を耕すことのできる能力。知識はその畑の数。休耕田になっていたら意味がない。
読書を通して自分で自分を教える(救える)仕組みを作ることが出来るようになる。

要約以上

本をひたすら読めと言いつつも本を読み過ぎると自分に新しいものを受け入れる隙間が出来ないのからダメ。しかし、本をたくさん読んだ方が良いとか、本は自分に合わなければ捨てても良いしもっと気軽に付き合えば良いと書いておきながら財産としての本の項があったり...と禅問答のような展開で、批判して読んで突っ込もうと思った瞬間に著者から答えを明かされるように一見違う主張をしているようで同じ人が書いているということで一本の線として浮かんでくる。
それは寄せては返す波のように...と書いてるとなんだか掴みどころがない本のように感じるかもしれないけど、これは著者の本に対する異常な思い入れがそうさせているのだろうと思う。きっと著者は多重人格者なのであろう。そんなことを質問したら著者は笑いながら「多重人格って普通だよね?」と言うのだろうけど。
人によって本書は見方が違うと思う。しかし、冒頭にも書いたが、「もっと本を読みたい」という気にさせてくれる本だろう。
そして、自分と向き合うという意味で本書に仏教本のような印象も受けたのは気のせいだろうか。
結局4回程読んでやっと読破した気がしている。まずはもう今の所、隙間のない本棚を買い換えようかな。

★★★★☆

〈参考〉
多重人格って普通だよね?    / http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50987332.html
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