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ノスタルジーな魅力 - 読感 -『往復書簡』湊かなえ

金曜日, 2月 08, 2013
今日は珍しく小説。

往復書簡 (幻冬舎文庫)
  • 作者:湊 かなえ
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日: 2012-08-02

Amazonの内容紹介
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子6人に会いに行く。6人と先生は20年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、6人目となかなか会うことができない(「20年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。

この本は母が珍しく貸してくれた本というのもあり別に興味のある本ではなかったのだが、せっかくだしと昨日から読み出して分かったのは小説ってのはストーリーがあるから読みやすいんだなってこと。
これは普段、人文系の本やノンフィクションものばかり読む僕にとっては新鮮な発見だった。
書簡自体が長文ではないのでそれを追っていけばどんどん先に進んでいく。
しかも昨年に読んだ小説『天地明察』に比べると同時代で日常のことばかりで綴られていくので前提の知識なども必要がない。
これを普段本を読まない母が読んで「面白かったよ。」と貸してくれたのが分かった。
テレビ番組などで「アンタテレビ見ないの?あの〇〇ってドラマ面白いよ!」と言われる感じと一緒だ。
大抵は「ふーん」「じゃあ今度見てみるよ」って言って見ないパターンが多い。

この本は落ちのあるストーリー小説なので詳しく書かないけど、基本的には多人数との手紙のやりとりで過去の事件の真相が暴かれていくという内容だった。
真相が暴かれていくうちに過去互いが実は相手のことをどう思っていたかなど当時の心理描写が手紙に書かれていて徐々に分かっていく感じだ。
普段メールやSNSの短文でやりとりしている人にはこの本に書かれている手紙の文化が意外に珍しく感じるのではないのだろうか。
個人的にも拝啓や前略から始まる内容の手紙を友人や知人に書いて送った経験はない。
自分がこの小説のような手紙が送られてきたら、どう返信しようか考えながら読んだりしてノスタルジーに浸りながら没入して読むのがこの本の楽しみ方かもしれない。
人の手紙が羅列してあるのを盗み見するような感じでスルッと小説の世界に入っていけるので、大抵の人は2〜3時間程度もあれば読めるだろう。
しかし、「本を読むならこれも面白いよ。」とこの本を返す時に僕のオススメの本を母に貸しても読んでくれないだろうなと、そんな気がしている。

★★★☆☆
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